今デモ マダ クジャクノ声 聞コエマスカ?
梶岡美穂
「事故のすぐあと、避難区域にクジャクが残されていることを知った。
美しい羽を広げて 空っぽの町を歩くクジャクの姿を想像した。」— 梶岡美穂
アメリカおよびカナダの美術大学で学んだ後、帰国してから、梶岡美穂は十年以上にわたりアートから離れ、報道の分野に従事していました。東日本大震災発生時、梶岡はブラジルのテレビ局の東京支局で働いており、すぐに東北での報道取材に専念しました。取材を通じて様々な人々に出会い、いろんな場所を訪れて感じた個人的で情緒的な思いは、報道という手法では伝えられないものだと梶岡は感じ、アートに再び戻ることを決断しました。
本書は、2018年に発表した手作りのアーティストブック『And, where did the peacocks go』を基に、2022年にフランスのthe (M) éditionsとベルギーのIBASHOにより共同出版された新装版に際して、60部限定のスペシャルエディションとなっています。震災が起き、アートに戻った梶岡のいろいろな思いを破片のように集めて継ぎ合わせた一冊。
梶岡美穂(かじおか みほ)
1973年岡山生まれ。サンフランシスコとカナダ、モントリオールで絵画と写真を学ぶ。帰国後は東京で報道の仕事に就き、東日本大震災を機にアート活動を再開。パリで作品を作り、主にヨーロッパで展示、出版。2019年フランスで出版された写真集でもっとも優れた1冊に贈られるナダール賞を受賞。
仕様/装丁:特注片観音Vカットカバー、ジャバラ折製本、コデックス装